腹圧性尿失禁(ふくあつせい にょうしっきん)
このページでは腹圧性尿失禁の原因・診断・治療についてご紹介しています。
はじめに
尿失禁には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流(いつりゅう)性尿失禁の3種があります。
腹圧性尿失禁とは尿を締める筋肉(尿道括約筋)が弱って、立ち上がった時やくしゃみといったちょっとした腹圧で尿が漏れる状態です。
切迫性尿失禁は過活動膀胱で起こる尿失禁です。トイレではないのに膀胱が勝手に収縮して尿が漏れてしまうことです。
溢流性尿失禁は膀胱が収縮しないために膀胱が尿でいっぱいになり、あふれ出てしまう状態です。
この中で腹圧性尿失禁の患者数が最も多く、日本中で500万人以上いると言われています。
いつも尿漏れを気にしなければならないため、QOL(生活の質)を大きく損なう原因となります。
原因
女性は出産により尿道括約筋を含む骨盤底筋がダメージを受けますが、その影響が加齢とともに顕在化してきて、腹圧性尿失禁を来たすことが多いです。
そのほかに女性ホルモンの低下、肥満、便秘なども関係します。
また前立腺全摘術を受けた男性にも腹圧性尿失禁が高率に見られます。
診断
尿失禁のうちどのタイプなのか丁寧に問診することで、ほとんどの場合診断が確定します。
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の混合型では、メインで漏れる方を優先して治療していくことになります。
どのタイプの尿失禁なのか判断に迷う場合は膀胱尿道内圧測定検査が必要であり、専門機関で検査してもらうことになります。
治療
行動療法
まずは骨盤底筋を鍛える目的で、骨盤底筋体操をしていただきます。
これはお腹に力を入れずに肛門や膣を締めたり緩めたりする訓練です。
なかなか文章では分かりづらいですが、当院では看護師が指導いたしますので、ぜひご相談いただければと思います。
薬物治療
切迫性尿失禁で用いるような抗コリン薬やβ3作動薬を投与することもありますが、骨盤底筋が強くなるわけではありませんので、あまり効果がないことが多いです。
手術療法
失禁量が多い方は手術療法をおすすめします。
細いテープを尿道の裏に通す手術が選択されることが多いですが、1週間以内の入院で、1時間ほどの手術で、術後もそれほど強い痛みはありません。
当院は名鉄病院、名古屋大学医学部附属病院と提携しており、紹介状をもって受診していただきます。
手術が終わったあと必要であれば当院に通院していただくことも可能です。