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脂質異常症(高脂血症)

このページでは脂質異常症(高脂血症)の症状・診断・治療についてご紹介しています。

はじめに

脂質異常症(高脂血症)とは、コレステロールや中性脂肪などの脂質代謝に異常をきたした状態のことです。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、中性脂肪の血中濃度の異常により診断されます。なかでもLDLコレステロールの値にもっとも気をつける必要があります。

 

脂質異常症は動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などをまねきます。70歳以上の30-40%ほどの方が脂質異常症に当てはまります(図2)。

 

予防も治療も、基本は体重の適正化と食生活などの生活習慣の改善です。飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール摂取量の制限、不飽和脂肪酸の過不足ない摂取、食物繊維の積極的な摂取が有効となります。以前は卵を食べないように指導されていましたが、最近では食べ過ぎなければ問題ないという考えに変わってきています。

食生活の改善は継続が大切です。無理なく長期間続けられるように、おいしく楽しく食べられる工夫をしながら行いましょう。

 

図2. 脂質異常症 有病率(%) 国民健康・栄養調査2019年より

HDLコレステロールが40mg/dL未満,もしくはコレステロールまたは中性脂肪を下げる薬を服用中の方の割合(%)

症状

通常は無症状です。多くの場合、健康診断や人間ドックなどで指摘されて初めて気付きます。

しかし、脂質異常症が長期間にわたって放置されると脂質が血管の内側にたまるため動脈が硬くなり、脳梗塞や心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などの原因となります。

また皮膚に脂肪の塊ができる、まぶたの周辺に黄色い斑点が現れる、肝臓に脂肪が蓄積することで肝臓の機能が低下する(脂肪肝、肝硬変、肝臓がん)、などの症状が現れることがあります。

基準値

LDLコレステロール

動脈硬化を予防するうえで、私は脂質異常症のなかでももっとも重要な指標と考えています。

男性では140mg/dL以下を目標にします。女性はホルモンの影響で高くなりがちですので、150-160mg/dL以下でいいと思っています。

心筋梗塞や糖尿病のある方は、100mg/dL以下、ないしは70mg/dL以下を維持することで予後が改善することが示されています。

HDLコレステロール

動脈壁に沈着した脂質を除去する働きがあるため、善玉コレステロールと呼ばれています。40mg/dL以上を目標とします。

中性脂肪

前日の食事内容により数値が大きく変動します。随時測定値が180mg/dL以下を目標とする勧告が学会から出されていますが、私個人的にはこれは厳しすぎると考えています。

脂肪肝により肝機能障害を来たしている方はしっかりと下げた方がいいでしょう。

原因と治療

脂質異常症の原因としては、遺伝的な素因に加えて、脂質や炭水化物の摂りすぎ、過食、飲酒といった悪い食生活のほか、運動不足も原因としてあげられます。

したがって治療の基本としては、食事内容を見直し、定期的に有酸素運動を行うことが不可欠です。(特に50代以下の若い方では効果的なことが多いと思っています。)

しかし、これは言うは易く行うは難しです。なかなか採血結果の改善が見られなければ薬物療法(スタチン、フィブラート、オメガ3脂肪酸、など)が必要になります。

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