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糖尿病

このページでは糖尿病の症状・診断・治療についてご紹介しています。

はじめに

糖尿病は、インスリンの作用不足で血糖値が高い状態が慢性的に続く病気です。

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンで、膵臓から分泌されます。(反対に血糖値を上げるホルモンは身体の中に複数そなわっています。生命の歴史の中で血糖値を上げることの方が死活問題で、高血糖が問題になることはほとんどなかったためでしょう)

 

糖尿病の恐さは、自覚症状がないうちに重篤な合併症が進展することです。高血糖状態が続くと血管が障害を受けるため、網膜症・腎症・神経障害(微小血管障害)のほか、心臓病や脳卒中(大血管障害)のリスクも高まります。

 

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は免疫系の異常により膵臓のインスリン分泌細胞が破壊されることが原因です。以前はインスリン依存型糖尿病とも呼ばれており、インスリンの自己注射が必要です。2型糖尿病は遺伝要因と生活習慣の乱れが重なって発症します。中高年の糖尿病の多くは2型で、このページでは2型糖尿病について説明していきます。70歳以上の20-25%ほどが糖尿病に該当します(図3)。

 

生活習慣の改善で糖尿病の発症を防ぐ1次予防、発症したあとに血糖値をコントロールして健康に生活する2次予防、さらに合併症の発症をくい止める3次予防という考えがあり、いずれも重要です。

 

図3. 糖尿病 有病率(%) 国民健康・栄養調査2019年より

これまでに医療機関や健診で糖尿病を指摘された方の割合(%)

症状

自覚症状がない場合が多いです。

しかし、頻尿、尿意切迫感、のどの渇き、満腹感が得られない、体重の急激な変化、倦怠感、集中力の低下、皮膚のかゆみ・乾燥・感染・潰瘍、視力低下、傷の治りが遅い、頭痛、めまい、などの症状が現れることがあります。

勃起不全の原因にもなるため、男性更年期障害で受診された方が、検査中に糖尿病と診断されることもあります。

基準値

空腹時の血糖値110mg/dL未満、食後2時間の血糖値140mg/dL未満が正常です。

ただし血糖値を管理の指標とすることの問題点として、直前の食事の影響や採血のタイミングにより数値が大きく変動することがあげられます。そこで糖がヘモグロビンと結合したHbA1cという数値が血糖管理の指標として用いられています。これは直前の食事の影響を受けず、過去1-2か月の血糖値を反映するため、とても便利です。

合併症を防ぐためには、若い方では6.5%以下、70歳以上では7.5%以下を目標とします。もちろん合併症があれば、もっと厳格な数値を目標とします。

原因

糖尿病はインスリンの量が足りない(分泌不全)か、インスリンの効きが悪い(抵抗性)ことによって発症します。

1.インスリンの量が足りない(分泌不全)

血糖値が上昇すると、それを下げようとインスリンを余分に出すため、膵臓が疲れて「インスリンを出す力」が弱っていきます。そうすると血糖値があがるため、さらに膵臓に負担がかかります。この状態は糖尿病が発症する前の段階ですでに始まっていて、糖尿病の初期と診断された時点でインスリン分泌能は、すでに健常者の半分程度にまで落ちていると報告されています。

日本人は遺伝的にこのインスリン分泌能が低い民族だといわれています。日本の長い歴史を考えると、もともとが粗食なうえに何度も飢饉に見舞われてきたため、血糖値があがりやすい遺伝子が残ってきたのでしょう。欧米人は肥満が進んでから糖尿病になる方が多いですが、日本人はやせていても糖尿病になる方が多いのはこのためです。

インスリン分泌能は親から子へと遺伝するため、糖尿病の親を持つ方は糖尿病になりやすいです。もちろん子が親と似たような食事習慣をとりやすいことも糖尿病の発症と関係しています。一方で、親が糖尿病でないのに糖尿病になる方もいます。時代とともにどんどん食生活が豊かになり、体を動かさない生活に変化していることが理由かも知れません。

2.インスリンの効きが悪い(抵抗性)

せっかく十分なインスリンが分泌されていても、その効きが悪いと血糖値があがってしまいます。

内臓脂肪が多かったり筋肉量が少なかったりするとインスリンの効きが低下します。一方で皮下脂肪は血糖値の悪化とあまり関係がないようです。やせていても糖尿病になる方は、筋肉量が少ないことが原因である場合があります。

3.そのほかの原因

  • 感染
    歯周病、インフルエンザ、肺炎、蜂窩織炎など感染により血糖値が上昇することがあります。
  • がん
    がん細胞の成長はインスリンの効き目を悪くするため、糖尿病の発見をきっかけに癌がんがみつかることがあります。
  • 妊娠 
    妊娠をきっかけに糖尿病になったり、もともとあった糖尿病が悪化したりすることがあります。
  • ステロイド薬
    ステロイド薬は体内で分泌される副腎皮質ホルモンと同様の働きをする薬剤です。他の病気の治療のために飲み始めたステロイド薬が血糖値を上げてしまい、糖尿病が悪化することがあります。

治療

2型糖尿病の治療の基本は適切な食事指導と運動です。

体重が4%程度減るだけでもインスリンの効きがよくなったという報告もあります。この際、筋肉量は維持するよう努めてください。有酸素運動によってカロリーを消費するとともに、強度の強い運動で筋肉量を増やすとよいでしょう。

 

ただこれも言うは易く行うは難しです。これでコントロールできなければ薬物療法を開始します。

血糖値の上昇を抑えたり、インスリンの分泌を促進したり、インスリンの効果を高めたり、糖分を尿中へ排泄したりする薬があります。最初は飲み薬から始めることが多いですが、血糖値が下がらないときは注射薬を併用することがあります。また、インスリンの分泌量が十分でないときは、注射でインスリンを補います。

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