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過活動膀胱

このページでは過活動膀胱の症状・診断・治療についてご紹介しています。

はじめに

膀胱は腎臓から流れてきた尿を排尿まで溜める袋のような臓器で、下腹部にあります。

普段は尿意を感じずに尿を溜める一方で、尿を出したいと思った時には速やかに収縮し、尿を出し切る必要があり、非常に複雑な機能をもっています。

 

過活動膀胱と呼ばれる状態になると、尿が十分に溜まる前に膀胱が収縮し、尿意を感じるため、トイレまで我慢するのが難しいということになります。

 

社会の高齢化とともに有症状者が増えており、今では日本全体で1000万人以上いると言われています。また男性では前立腺肥大症になると過活動膀胱を呈する方が50-70%います。

 

生命に関わる疾患ではありませんが、人は1日に何回もトイレに行くため、生活の質に非常に大きな影響を与える疾患です。

症状

一番特徴的な症状は『尿意を我慢するのが難しい』ということです。

 

これにより頻回にトイレに行く、夜間にトイレのために何回もトイレに起きる、尿を我慢するのが難しい、尿を我慢できずにちびってしまう、といった症状が現れます。

 

ちなみに女性では立ち上がった時やくしゃみで尿が漏れることがありますが、これは「腹圧性尿失禁」という状態で、過活動膀胱とは区別する必要があります。

診断

まず自覚症状の重篤度を、過活動膀胱症状スコア(OABSS)で点数化します。

朝起きた時から寝る時までに、何回くらい尿をしましたか?

7回以下

0点

8-14回

1点

15回以上

2点

夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか?

0回

0点

1回

1点

2回

2点

3回以上

3点

急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがありましたか?

なし

0点

週に1回より少ない

1点

週に1回以上

2点

1日1回くらい

3点

1日2-4回

4点

1日5回以上

5点

急に尿がしたくなり、我慢できずに尿を漏らすことがありましたか?

なし

0点

週に1回より少ない

1点

週に1回以上

2点

1日1回くらい

3点

1日2-4回

4点

1日5回以上

5点

 

3~5点:軽症、6~11点:中等症、12点以上:重症、となります。

 

排尿記録、尿流測定、超音波検査、膀胱造影により膀胱の容量を測定します。

また超音波検査により排尿後にどのくらい膀胱に尿が残っているかを測定します(残尿測定)。

 

以上の検査により過活動膀胱の状態を総合的に判断し、治療に移ります。

治療

行動療法

膀胱訓練

過活動膀胱の人は尿意を感じるとすぐにトイレに行くことが習慣になっている人がいます。そこで尿意を感じてもできるだけ我慢する訓練をすることで、いい意味で膀胱が鈍感になり、尿を溜められるようになることを目指します。

骨盤底筋体操

尿道や膣、肛門を締める骨盤底筋を締める体操をすることで、徐々に膀胱の緊張がとれ、過活動膀胱にも効果があることがあります。

ダイエット

膀胱は内臓の中で一番下にあるため、太っていると内臓の重さが膀胱にのしかかることになります。したがってダイエットをすることで膀胱への負担が軽くなります。体重が8kg軽くなると6か月後の尿失禁が47%減少したという報告もあります。

薬物治療

β3作動薬

膀胱の緊張をとり、尿がたまりやすくする薬です。副作用が少ないため、多くの方で最初に用いる薬になります。

抗コリン薬

膀胱を支配する副交感神経の活動を抑えて、膀胱の収縮を抑える薬です。飲み薬のほか貼り薬もあります。効果は強いですが、副作用として便秘や口渇がみられるのが難点です。

ボツリヌス療法

ボツリヌス菌が作る筋肉を緩める物質を、膀胱鏡を用いて膀胱壁内に直接注射する治療法です。

薬物療法で効果がない方に投与し、8割の方で尿失禁が半減します。

入院の必要がなく、3分ほどで注射は終わります。痛みはありますが、痛み止めを用いるため我慢できる範囲です。

効果持続期間は人によって変わりますが、1年に1回打つようなイメージです。

3割負担で5万円ほどの自己負担になります。

電気刺激療法

干渉低周波治療

肌がピリピリしない程度の、低い電気刺激を与えます。

専用のパットを貼って20分間臀部を刺激することで、マッサージ効果、および血流促進、温熱効果があります。

最初の3週間は週に2回、その後は2週間に1回程度続けていきます。

治癒30-50%、改善60-70%という報告もあります。当院でも施術可能です。

仙骨神経刺激療法

膀胱を支配する仙骨神経沿いに電気刺激装置を留置し、膀胱の過活動を抑える治療です。

全身麻酔で行うため、数日間の入院が必要です。

舟橋院長が名古屋大学医学部附属病院に勤務していた時には行っていましたが、現在は東海地方でこの治療ができる医師はおりません。

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